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【相続分の譲渡・取戻しについて】越谷の弁護士|五十鈴総合法律事務所

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【相続分の譲渡・取戻しについて】越谷の弁護士|五十鈴総合法律事務所

【相続分の譲渡・取戻しについて】越谷の弁護士|五十鈴総合法律事務所

2023/02/01

 越谷の弁護士、五十鈴総合法律事務所です。

 民法は相続分の譲渡及び取戻しについて次のように定めています。

 

(相続分の取戻権)

第905条 共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる。

2 前項の権利は、一箇月以内に行使しなければならない。

 

 相続分を第三者に譲り渡すこと、すなわち相続分の譲渡とは、積極財産と消極財産とを包括した遺産全体に対する譲渡人の割合的な持分の譲渡をいいます。相続分の譲渡により、相続分が譲受人に移転し、自らも相続人である譲受人は、従前から有していた相続分と新たに譲り受けた相続分とを合計した相続分を有することになります。そして、遺産分割が実行されれば、その結果に従って相続開始の時にさかのぼって被相続人からの直接的な権利移転が生ずることになります。(以上につき最判平成13年7月10日)。

 なお、ここでいう相続分とは、法定相続分ではなく、具体的相続分と解されています。その結果、相続分の譲受人は、譲渡人が有していた特別受益や寄与分を主張することのできる地位、さらには遺留分権利者としての地位も包括的に承継取得することになります。

 相続分には消極財産である債務も含まれますが、その帰趨については相続債権者との関係では債務引受の問題(民法470条から472条の4)となります。

 最高裁は、「共同相続人間においてされた無償による相続分の譲渡は,譲渡に係る相続分に含まれる積極財産及び消極財産の価額等を考慮して算定した当該相続分に財産的価値があるとはいえない場合を除き,上記譲渡をした者の相続において,民法903条1項に規定する「贈与」に当たる。」(最判平成30年10月19日)として、すなわち相続分の譲渡が特別受益たる贈与(民法903条1項)に該当する場合があることを判示している点も重要です。

 

 相続分の取戻しとは、相続分が譲渡されたとき、譲渡人以外の共同相続人が、その価額と費用を償還して、譲渡された相続分を譲受人から取り戻すことができる権利をいいます。

 相続分の取戻しの制度は、相続人以外の第三者が遺産分割に介入することを防ぐ(例えば先祖伝来の土地が親族以外の第三者に流れることを防ぐ)ための制度です。そのため、相続分の譲渡の相手方が共同相続人であるときは、取り戻すことはできないと解されています。

 償還すべき価額とは、譲渡の対価ではなく、取戻し時における評価額と解されています。

 取戻権の行使の結果、相続分は取戻権を行使した相続人に移転すると解されています(反対説あり)。

 取戻権は、1カ月以内に行使しなければなりません(905条2項)。これは除斥期間とされています。同項が1ヵ月と非常に短期間としている趣旨は、法律関係の早期安定を図る点にあります。そこで通説は、この期間の起算点は、譲渡時としています。

 

 

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