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【遺留分侵害額請求の相手方及び負担額の上限について】越谷の弁護士|五十鈴総合法律事務所

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【遺留分侵害額請求の相手方及び負担額の上限について】越谷の弁護士|五十鈴総合法律事務所

【遺留分侵害額請求の相手方及び負担額の上限について】越谷の弁護士|五十鈴総合法律事務所

2023/05/01

越谷の弁護士、五十鈴総合法律事務所です。

 

1 遺留分侵害額請求の相手方は次の順となります。

(1) まず受遺者、次に受贈者が負担する。(1047条1項1号)

(2) 受遺者が複数人のとき、または受贈者が複数人かつ贈与が同時のときは、目的の価額の割合に応じて負担する(同項2号本文)。

(3) 受贈者が複数人いて贈与が同時でないときは、後(直近)の贈与に係る受贈者から順次前(過去)に係る受贈者が負担する(同項3号)。

 

 なお、遺留分侵害額の被請求者が無資力の場合でも、他の受遺者・受贈者に請求はできません(1047条4項)。

 

2 遺留分侵害額の被請求者の負担額の上限は以下のとおりです。

(1) 遺留分を算定するための財産の価額に算入される贈与の額が原則(1047条1項柱書2つ目の括弧書)。

(2)遺留分侵害額の被請求者が相続人の場合は、遺贈・贈与の目的物の価額から各相続人の遺留分の価額を控除した額(同3つ目の括弧書)。

 

3 遺留分侵害額の被請求者は金銭債務を負いますが、受贈・贈与された目的物が金銭以外の場合(例えば、土地建物等)には、直ちに金銭を準備することができないことも想定されます。この場合に、請求時から履行遅滞として遅延損害金が発生するとなれば、遺留分侵害額の被請求者にとっては過酷な事態となるおそれがあります。

 そこで、民法は、遺留分侵害額の被請求者からの請求により、裁判所が金銭債務の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができることとしました(1047条5項)。許与された期限内に債務を履行する限り、遺留分侵害額の被請求者は履行遅滞責任を負いません。

 

(受遺者又は受贈者の負担額)

第1047条 受遺者又は受贈者は、次の各号の定めるところに従い、遺贈(特定財産承継遺言による財産の承継又は相続分の指定による遺産の取得を含む。以下この章において同じ。)又は贈与(遺留分を算定するための財産の価額に算入されるものに限る。以下この章において同じ。)の目的の価額(受遺者又は受贈者が相続人である場合にあっては、当該価額から第1042条の規定による遺留分として当該相続人が受けるべき額を控除した額)を限度として、遺留分侵害額を負担する。

 一 受遺者と受贈者とがあるときは、受遺者が先に負担する。

 二 受遺者が複数あるとき、又は受贈者が複数ある場合においてその贈与が同時にされたものであるときは、受遺者又は受贈者がその目的の価額の割合に応じて負担する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

 三 受贈者が複数あるとき(前号に規定する場合を除く。)は、後の贈与に係る受贈者から順次前の贈与に係る受贈者が負担する。

2 第904条、第1043条第2項及び第1045条の規定は、前項に規定する遺贈又は贈与の目的の価額について準用する。

3 前条第1項の請求を受けた受遺者又は受贈者は、遺留分権利者承継債務について弁済その他の債務を消滅させる行為をしたときは、消滅した債務の額の限度において、遺留分権利者に対する意思表示によって第1項の規定により負担する債務を消滅させることができる。この場合において、当該行為によって遺留分権利者に対して取得した求償権は、消滅した当該債務の額の限度において消滅する。

4 受遺者又は受贈者の無資力によって生じた損失は、遺留分権利者の負担に帰する。

5 裁判所は、受遺者又は受贈者の請求により、第1項の規定により負担する債務の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができる。

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