【懲戒処分について】越谷の弁護士|五十鈴総合法律事務所
2023/04/17
越谷の弁護士、五十鈴総合法律事務所です。
会社の秩序を維持し、円滑な業務運営を推進していくために懲戒処分制度は不可欠といえます。
この点、最高裁は、「使用者が労働者を懲戒するには,あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことを要する。そして,就業規則が法的規範としての性質を有するものとして,拘束力を生ずるためには,その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていることを要するものというべきである。」(最判平成15年10月10日)と判示して、①会社が懲戒処分を行うためには、どのような非違行為に対してどのような懲戒処分がなされるかについて事前に就業規則に明記されていること、②就業規則が法的拘束力を有するためには、就業規則の適用を受ける労働者に周知させる手続が採られていること、が必要と説いています。
労働基準法は、89条で「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。」として、常時10人以上の会社に対して就業規則の作成及び届出義務を定め、9号で「表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項」として、懲戒処分についても対象としています。
「常時10人」とは、常態として10人を意味し(繁忙期のみは含めない。一時的な10人未満は含む。)、事業場単位(会社単位ではなく)で計算するとされています(同条10号、90条参照)。
労働契約法は、7条で「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。」として、就業規則を労働者へ周知させることを定め、労働基準法106条1項は、「使用者は、・・・就業規則・・・を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならない。」として、周知の方法を定めています。
就業規則の懲戒処分制度は、刑法になぞらえることができます。どちらも秩序維持に不可欠です。刑法がなければ、犯罪を取り締まることができないように、懲戒処分制度がなければ、会社内での非違行為を取り締まることができません。刑法があることで、国民は自由が保障されるように、懲戒処分制度があることで、労働者の自由が保障されます。
懲戒処分制度は、会社の維持発展において、会社と労働者の双方にとって必要不可欠な制度といえます。
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