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【遺留分侵害額の算定について】越谷の弁護士|五十鈴総合法律事務所

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【遺留分侵害額の算定について】越谷の弁護士|五十鈴総合法律事務所

【遺留分侵害額の算定について】越谷の弁護士|五十鈴総合法律事務所

2023/04/03

 越谷の弁護士、五十鈴総合法律事務所です。

 遺留分を侵害された場合、受遺者・受贈者に対して遺留分侵害額請求権を行使して金銭の給付を受けることができます。遺留分侵害額の算定方法はつぎのとおりです。

 

1 遺留分を算定するための財産(「基礎財産」といいます。)の価額を算定します。

 

 基礎財産=被相続人が相続開始の時において有した財産の価額+贈与した財産の価額-債務の全額(民法1043条1項)

 

 贈与の対象は、相続開始前の1年間に贈与契約を締結したものが原則です(学説上は、1年以上前に締結された贈与契約に基づいた1年以内の贈与の履行は対象外とされています)。例外として、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、1年前の日より前に締結したものについても対象となります(1044条1項)。

 相続人に対する贈与については、対象期間は相続開始前の10年となります。算定の対象となる贈与は、婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額(つまり特別受益の価額(903条))に限定されます(1044条3項)。

 なお、受贈者が相続放棄をすれば、初めから相続人とならなかったものとみなされる(939条)ため、基礎財産への算入は相続開始前の1年間に締結された贈与契約のみが対象となる点に注意が必要です。

 基礎財産の算定においては寄与分(904条の2)は考慮されません。

 

2 基礎財産の価額に総体的遺留分の割合(直系尊属のみが相続人である場合は3分の1、それ以外の場合は2分の1)(1042条1項)を乗じて総体的遺留分の価額を算定します。遺留分権利者が複数存在する場合は、さらに総体的遺留分の価額に法定相続分の割合(900条、901条)を乗じて個別的遺留分の価額を算定します(1042条2項)。

 

 総体的遺留分の価額=基礎財産×2分の1又は3分の1

 個別的遺留分の価額=総体的遺留分の価額×法定相続分の割合

 

3 個別的遺留分の価額から①遺留分権利者が受けた遺贈・特別受益となる贈与の価額及び②900条から902条・903条並びに904条の規定により算定した相続分に応じて遺留分権利者が取得すべき遺産の価額を控除し、③被相続人が相続開始の時において有した債務のうち、899条の規定により遺留分権利者が承継する債務(「遺留分権利者承継債務」といいます。)を加えて、遺留分侵害額の価額を算定します(1046条)。

 

 遺留分侵害額の価額=個別的遺留分の価額-①遺贈・特別受益となる贈与の価額-②900条~902条・903条・904条で算定した相続分応じて取得すべき遺産の価額+③遺留分権利者承継債務の額

 

 なお、上記①については、基礎財産の算定時と異なり、相続開始前の10年間にされたものとの限定が付されていない(10年以上前のものも含まれる)点に注意が必要です。

 ③の遺留分権利者承継債務については、相続分の指定があった場合には、「第899条の規定により」(1046条2項3号)とあるとおり、法定相続分ではなく、指定相続分により算定されます。

 

 

(遺留分を算定するための財産の価額)

第1043条 遺留分を算定するための財産の価額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除した額とする。

2 条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って、その価格を定める。

第1044条 贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。

2 第904条の規定は、前項に規定する贈与の価額について準用する。

3 相続人に対する贈与についての第一項の規定の適用については、同項中「一年」とあるのは「十年」と、「価額」とあるのは「価額(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額に限る。)」とする。

第1045条 負担付贈与がされた場合における第1043条第1項に規定する贈与した財産の価額は、その目的の価額から負担の価額を控除した額とする。

2 不相当な対価をもってした有償行為は、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってしたものに限り、当該対価を負担の価額とする負担付贈与とみなす。

(遺留分侵害額の請求)

第1046条 遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。

2 遺留分侵害額は、第1042条の規定による遺留分から第一号及び第二号に掲げる額を控除し、これに第三号に掲げる額を加算して算定する。

一 遺留分権利者が受けた遺贈又は第903条第1項に規定する贈与の価額

二 第900条から第902条まで、第903条及び第904条の規定により算定した相続分に応じて遺留分権利者が取得すべき遺産の価額

三 被相続人が相続開始の時において有した債務のうち、第899条の規定により遺留分権利者が承継する債務(次条第3項において「遺留分権利者承継債務」という。)の額

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